さよならを言うと春が来るという
作詞 愛弓歌
冬は空が澄んでいるという
どおりでどんなに伸ばしてもこの掌は
あの蒼には届かないわけで
隣で笑っている
君とちょうど同じくらいの距離
よけられた雪 いつもより狭い帰り道
ぶつかる肩に 伝わった温もりも
少しだけ冷たく感じるのは
きっとこれが最後の冬だから
冬が終われば春が来るという
その足音を感じる陽射しが刺さって
湧き上がる想い その四文字を
書き換えてまた「寒いね」って呟く
そんな冬日和
雪は音を吸い込むという
どおりで他愛もない話の節々に
この想いを詰め込んでみても
隣で笑っている
君にはちょっと届いてないみたいで
滑らせた足 あきれ顔で伸ばす君の手
繋いだ右手に 流れ込む温もりも
少しだけ冷たく感じるのは
これもただの思い出になるから
信号待ち 君から反らす目線の先
くすんだ雪の表面が溶けてキラキラと輝く
照らされた蕾がそよ風に揺れて
鳴り始めた春の詩は私にだけ冷たくて
吐き出した白いため息の向こう
届かない蒼はいつもより輝いている
冬が終われば春が来るという
この風景を溶かす陽射しが刺さって
伝えたい想い その四文字を
書き換えていつか「さよなら」って呟く
そんな春が来る
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