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名もない街が
作詞 散桜
昏い街に
一筋の光が差して、
その街は何かを失うだろう。
それは遠く遠くの愛だったり、
それとも
すぐそこ近くの花だったりするのだろう。

何も言わぬまま、
静かに静かに
消え去った命も
何も言えぬまま、
儚く儚く
遠のいた歌声も
その淡い淡い思い出とともにあった
この街をいつか
皆は忘れてしまうのだろうか。

名もない街が闇に襲われるとき、
きっとあなたはその声が聞こえない。
名もない街が十字架を穿つとき、
きっとあなたはその惨劇がもう見えない。
名もない街がそうして私たちを捨てたとき、
それは私たちが生きるのをやめたとき、
きっと世界は息することをやめるのだろう。

沈んだ街に
一筋の光が差して
その街は何かを失うだろう。
それは深く深くの癒えない傷だったり、
それとも
浅い浅い記憶の一ページだったりするのだろう。

何も言わぬまま、
静かに静かに
なくした面影も
何も言えぬまま
儚く儚く
霞んでいった青空も、
その淡い淡い思い出とともにあった
この街をいつか
皆は忘れてしまうのだろうか。

名もない街が血の雨を降らすとき、
きっとあなたはその色が目に映らない。
名もない街が嘆き悲しみ慟哭するとき、
きっとあなたはその叫びをきこうとしない。
名もない街がそうして私たちを捨てたとき、
それは私たちが生きるのをやめたとき、
きっと世界は平和でいることをやめるだろう。

名もない街がまだ明るい朝を迎えていた頃、
遠浅の海に朝日が輝いていた頃。
潮風を浴びたその横顔が、
希望に満ちたその横顔が、
絶望に歪む日が来るなんて。
名もない街がまだ静かな夜を迎えていた頃、
森の木陰に月が優しく降り注いでいた頃。
月夜に手を翳すその瞳が、
明日が来ることに疑問を抱かなかったその瞳が、
今日の命を切望する日が来るなんて。
名もない街は思いもしなかったのだろう。

名もない街が夕日とともに傾くとき、
きっとあなたはその存在をもう覚えていない。
名もない街がその歴史を刻み続けるとき、
きっとあなたはその地のことを何も知らない。
名もない街が明けぬ夜を乞うとき、
きっとあなたはその場所にいない。
名もない街がいつか歩みを止めたとき、
その終着を祝うものは
もう誰もいない。
名もない街がそうして忘れ去られたとき、
きっとあなたは涙を流すのだ。

本作品の著作権は作詞者に帰属します。
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歌詞タイトル 名もない街が
公開日 2014/07/21
ジャンル その他
カテゴリ その他
コメント 私の中のぐちゃぐちゃした感情を、詰め込みました。今の日本とか、なんだか広いテーマになりました。ささやかな問題提起になれば幸いです。感想などなど宜しくお願いいたします。
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