それは 八月の坂道だった あの引っ掻き傷は かさぶたになって 弱い心をえぐってゆく きらいな色を好きになった それでも雨は苦手だった うまくいかない日 慣れない空気 それでもあなたを頼りに 生きてこれた 哀しいくらいまっ青な 空の下 遠い日の歌が 聴こえてくる 眩しい真昼の線路沿い 陽だまりのなかの水たまり 癒えない傷 戻らない心 見上げれば こんなにも綺麗な空が広がっているのに 込み上げるように 哀しみにかわってしまう あの夏のピアノが 今年もまた鳴り響いている