深海魚
作詞 臨
ある朝目覚めた深海魚は少し海面へ昇ってみようと考えました
上へ上へ ただひたすらに上へ 射し込む光を目印に
だんだん体にかかる水圧も軽くなってきたころ
深海魚はそれはそれは美しい魚と出逢いました
嗚呼 僕は君の声が聞きたくなって 話しかけようとした
だけど 自分の体の色を見て 戸惑ったんだ
僕は深海魚 限りなく淀んだ青
それでも君が 分け隔てなく話してくれるなら
僕はそれだけで それだけで幸せだから
どうして僕には 君の様な 綺麗な色が無いんだろう?
少しでもあれば 僕は僕を誇れるのかな
すると彼女のほうから寄ってきて「変わった色ね」と呟いた
恐い恐い なにか言われるんじゃないか すると彼女は意外にも
「個性があっていいじゃない」って言ってくれたんだよ
深海魚はなにかが抜け落ちて涙が零れそうになりました
嗚呼 僕は君に今すぐ「好きだよ」って 呟きそうになった
だけど 僕は深海魚だから 一緒には居られないんだよね
君は回遊魚 永遠に泳ぎ続ける
それでも君が 傍に居てくれるなら
僕は深海魚も なにもかも捨てるよ
どうして神様は 回遊魚と深海魚を作ったんだろう?
それが無ければ 傍に居れるのにな
嗚呼 嗚呼 深海魚もなにもかも捨てて
嗚呼 嗚呼 君と世界を巡りたい
ただ それだけ それだけだから
僕は深海魚 ずっと同じ場所へ居続ける魚さ
それだけは 捨てられないから
僕は君を あきらめることにするよ
どうして僕等は 回遊することができないの?
それが無ければ ただ同じ魚であれば
ずっと ずっと ずっと 傍に居れたのにな
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