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紫陽花
作詞 サブマリン
雨の季節のように 欝蒼とした世界で
私たちは愛し合って 燥ぎ合っていた
透明の雨傘から映る 水滴に塗れたすべてが
霞のような行く末を 洗い流して欲しいと願っていた

あなたが 私の知らない人になってゆく
今は あの頃の幻を 寄せ集めたモザイクで象るだけ

淡く冷たい 哀しげな彩りをなぞるように
雨に濡れた想い出に一人 目を凝らしている
私は あなたを忘れてしまうのでしょう?
移り行くすべて 絵の具が雫で滲んでしまうように
言葉で綴るすべて 心で感じるすべて
いつかは土へ還る 束の間の間隙に色付いた記憶を また一つ思い返しながら


雨の季節で彷徨う 物憂げな夢の予感は
私たちを引き離す 華やいだ愛の残骸
遠目の雨傘が消え入って 愛しみに浸ったすべてが
蜥蜴に擽られて 引っ張り出された心残りの幻影

あなたは 私の知らない人だったはず
いつしか秘め事も許さない 言い掛かりに近い小細工を捏ねるだけ

化野に向かいし 儚げな彩りに魅せられて
言葉で濡れた手枕に一人 滲ませた紅で綴るだけ
あなたは私を忘れてしまうのでしょう?
変わりゆく心 墨染の歌枕で心が見えなくなる前に
あなたの温もりすべて あなたの優しさすべて
もうすぐ露と消えてしまう しっかり見届けてゆく

触れられた指 触れられた心
淡く消え入るように 静かに染まったまま
心の襞を伝い 零れ落ちた愛しみの証
滲んだまま 美しく佇んでいる

淡く冷たい 哀しげな彩りをなぞるように
雨に濡れた想い出に一人 目を凝らしている
私は あなたを忘れてしまうのでしょう?
移り行くすべて 絵の具が雫で滲んでしまうように
言葉で綴るすべて 心で感じるすべて
いつかは土へ還る 束の間の間隙に色付いた記憶を また一つ思い返しながら

また一つ色付いて 散りゆくこの花を見つめながら

本作品の著作権は作詞者に帰属します。
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公開日 2020/06/30
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コメント 鬱蒼とした梅雨空。滴る雨粒がよく似合う花は、淡く滲んだ姿のまま、美しかった頃の記憶に目を凝らしている。今日の雨空の下も同じ。雨傘を並べた日と同じ。
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