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おとぎの国の彼女
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作詞 辻由也 |
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幼かったころ 飽きもせず詠んだ
絵本に似ている 『Fall Labyrinth』
すくなめの言葉や ありきたりな台詞
よくある話も わからなかった
ときどき謎かけみたいな彼女の微笑み
ただの迷える白ウサギなんかじゃなかった
やけにでかい月 赤すぎる太陽
ハデすぎることが 作り物なんだと
気づかなかった 子どものままなら
『さよなら』の意味も わからなかった
シーツのなかで秘め事を結んだ真夜中
仄かな明かりだけをそこに灯して 二人きり遊んだね
時間なんて忘れて 抱きあったひとときは
空を自由に飛んでいるみたいになれたのに
夢のような幕切れを楽しんでいるみたいに
続きなんてもう二度とないのに
『またね』って …言うの
リンゴの薄皮をナイフで剥くような
あぶない手つきで彼女を愛した
ずっと変わらない 蜜の味だった
変わっていたのは ぼくのほうかな?
ガラス細工みたいな彼女を覗いてみたら
なにもかもがひっくり返って映っている
蒼く潤んだ彼女の 瞳の海は深くて
溺れたいとも思っていたんだ いっそのこと
向こう岸まで漕ぎだした ぼくのボートは純情
さざ波な移り気の心に浮かばせていたんだ
彼女の不安でえがいた話
どこから語ればいいのだろうか?
煤けた昔の記憶にくちづけ
息は絶え絶え むせ返すだけ
息苦しくなる結末なのに
ずっと言葉にしたかった日々は
時間なんて忘れて 抱きあったひとときさ
空を自由に飛んでいるみたいになれたんだ
夢のような幕切れを楽しんでいるみたいに
続きなんてもう二度とないのに
『またね』って …言うの
『またね』って返したけど 目が覚めてからの話
夢のなかの彼女には伝わっていないみたい
絵本だけがどうしてか 栞というものがない
おとぎの国の彼女にとっては普通のこと?
さあね?
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