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枯渇
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作詞 ろいろい |
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数世紀ぶりのよく晴れた日だ
傘を閉じる少女 汗を拭く男
上機嫌なママが 仕事帰りにワンピースを買ってきた
ありがとうと笑った私を
嬉しそうに見つめたママは私の肩を優しく抱いた
太陽が高く照り続けた下を
みえちゃんとゴム跳びして遊ぶ
サッカーボールを抱えた はるきくんが太陽にボールを蹴った
弧を描いたボールを追いかけるみんなを見ていた
あそこに私はいてはいけないから
10年前から全ては変わらないまま
だけどいつか変わると思っていた
今日もあの日と同じ大晴天
その光は鈍い凶器となる
私は光に焦がされる 燃える 枯れる 消える
ママはたった一人で私を育てた
夜独りぼっちで過ごすことも増えて
渡されたドリル解いて テストもできるようになった
有名な高校に進学した春 すぐにいじめに遭った
理由は貧しいから 可哀想だから それだけだった
朝から具合悪くなる日が増えて
子供みたいに駄々をこねた日もあった
一人で私を育てるママに心配かけたくなくて
学校であったことは言えなかった
だからママは私を強く叱った
「貴方は立派に働いて 強く生きるのよ」
10年前から未だに変わらないまま
だけどいつか変わると思っていた
いつだってあの日と同じ大晴天
その光は鈍い凶器となる
私は光に焦がされる 燃える 枯れる 消える
昨日みえちゃんから電話が来た
みえちゃんは今、働いている
誰もが知ってる会社で毎日汗をかいて働いている
同窓会で会ったはるきくんとつい最近付き合い始めた
まだ付き合っているだけだけどと みえちゃんに言ったら
祝ってくれた
ママは私を見てどう思うだろうか
私は結局落ちぶれてしまった 普通に働いている
ママは私にもっと期待していた 強くなってと望んだけれど
ごめんね、私は幸せなお嫁さんになれればそれでいいんだ
10年前から私は変われないまま
そしてこれからもこのままでいたい
今日もあの日と同じ大晴天
その光に私は背を向ける
私は光に抗って 進む 自由に 生きる
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