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ホットココア
作詞 ろいろい
ギターを弾く指が悴み始めて
声も寒さに震えて上手く歌えないから
人通りの少なくなった小路を歩いた
外に出たら気がついた 初雪が降っていたこと

また何にもやり遂げられないままで
いつもと同じような冬をぼんやり見てた
変わったのは彼女ができたってことだけ
彼女のいる部屋へ帰るということだけ

安っぽいアパートの鉄階段登り
雪が舞い込んだ床を渡ってドアを開けたら
無邪気に微笑む彼女が部屋着でヤカンを持っていた
上手く笑えない僕を責めることもなかった

お疲れ様と言って置いてくれたマグカップに
彼女の部屋着と同じ色したココア
その柔らかい湯気で堪えてた涙も
幾分か乾いていった気がする

僕はなにもできない 僕は歌うことしかできない
その歌声も燃えるゴミに吸い込まれていく小さな声だ
最後に喧嘩した親のことも 大切な君のことも
裏切っては自分嫌って 全部嫌になって

君に出会わなければ いっそ良かったのかもな
傷つけては無理をさせて 独りぼっちにさせて
君を信じすぎて 頼りすぎて 馬鹿になっちまった
君がいればいいなんて 思う資格はないよな

小さい頃から体が弱くて内気なせいで
中学の頃はいじめられて人が怖くなった
そもそも案外他人ってのは 呆気ないもんだ
期待しすぎないことが僕にとって正しかった

ココアの湯気を半ば強引に吹き付けたら
あっさり消えてしまって思わずどきりとした
これがもし僕の夢ならと考えてみたら
何事もなかったかのように煙は元に戻った

僕は歌えもしない 僕は生きること以外はできない
その生き方も意味などなく惰性ってもんで片付けられる
叫んでくれた友達のことも ただ一つの故郷さえも
騙し続けては自分恨んで 虚しくなって

君に出会わなければ いっそ良かったのかもな
嘘をついては安心させて 僕の荷を背負わせて
君を信じすぎて 頼りすぎて 馬鹿になっちまった
君がいればいいなんて 簡単には言えないな

自由に揺蕩う湯気を見つめてたら
白く映る景色の先に君がいた
温かいね、って言ってみたら
君は微笑んで僕の隣に来た

湯気に手を当てた君は「手が冷たいから」と言うから
思わず僕はその手を握った
君は少し目を見開いてそして言った
「貴方のほうが温かいわ」と

僕はなにもできない 僕は不器用な人間だ
この歌声も深い空に吸い込まれていく小さな声だ
でも今はただ叫びたい 大声で歌いたい
君への歌を やっぱり僕は歌うことしかできない

君に出会えたことで 僕は救われたんだ
人を信じたり 愛したり 想う嬉しさを知ったよ
君を信じすぎて 愛しすぎて 馬鹿になっちまった
君がいれば全部 できる気がしているんだ

だけど
君を守れるくらいの男に
なれたら良かったなんて今も思ってる
そんなこと言えば君は笑うだろうか
そんな歌を歌えば君はどう思うだろうか

そんなことを考えながら窓の外の
初雪を湯気越しに眺めている

本作品の著作権は作詞者に帰属します。
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歌詞タイトル ホットココア
公開日 2017/11/13
ジャンル 歌謡
カテゴリ 恋愛
コメント 【テーマ詞:湯気】反省点→回想と今を行ったり来たりすぎて分かりにくい。平坦なメロディーを考えながら作ったから文字数がちょっと合わない。テーマに近づけようとしすぎて無理やり「湯気」という言葉を使い過ぎた。

歌謡曲というよりもフォークがイメージ。今年も約束を守れないまま冬になる。
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