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夏の舟
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作詞 ろいろい |
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夕立が降ってる ペトリコールが夏の匂い
死にそうになって「死にたい」って
呟く僕らを急かす
パソコンが蔑む くそみたいな詭弁を歌う
死にそうに生きる僕らに放つ
「死ね」だとか「殺す」だとか
熱帯夜に徘徊 警官に呼び止められ
今は懐かし ネオンサイン
遠く向こうでやんわり灯る
流行りの歌はこんな僕らを
「魚みたいだ」と比喩した
眼を光らせる野良猫
家なき人の段ボール
どれだけ僕らを虐げたなら
お前はここから去ってくれるんだ
重苦しい暑さにまた死にたくなるよ
夏の中壊れそうな舟で街を往く
朝霧が待ってる この涼しさも夏の匂い
死にそうになると「生きたい」って
言えなくなるもんだな
携帯が鳴っては 耳塞いで蹲ってる
死にそうに生きる僕は思った
生きてるのは何故だって
昼間でも家の中 誰の目も怖くなって
遠くに見えるラブホテルの
不気味さに唇震わせて
好きだったあの子を思い出す
振られたのも確か夏だった
今ならわかる話だ
僕はかっこ悪いんだから
どれだけ僕らを悩ませたなら
お前はここから去ってくれるんだ
うんざりする暑さにまた死にたくなるよ
夏の中傷だらけの舟で街を往く
そうだ、昔の偉い人も
僕が好きなあの小説家も
自ら死に行った人だっていただろう
よく分からない理由で安心しているのは
僕が特別だって存在価値があるんだって
思いたいから 被害妄想 苦しまないと
痛がらないと 嫌われないと
美しい人生にはならない
語れるくらいの人生を
語るため 語るため 薄っぺらいこの物語に
まだ終わりの文字を載せるな
まだ生きないといけないんだ
どれだけ僕らを虐げたって
お前がいた季節は忘れないぜ
うんざりする重苦しい暑さに
死にたくなるのは変わらないが
どれだけ傷ついても何度でも
お前を前に這い上がってやるぜ
少しばてて辛くなってもまだ
夏の中思い出だらけのこの舟で
街を進んでく
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