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秋風
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作詞 アイリス |
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青く遠く澄み渡る大空を
夏から一つ移った風が吹き渡る
色付くにはまだ少し早い銀杏の木
ただ一人見上げ僕は瞳を閉じる
幼い頃から共に見上げ続けた
一本の木は年を重ねるごとに
その枝への距離が縮んで
今ではもうその葉をこの手がなぞる
縮む距離とは対に離れる距離
ほらもうすぐあの季節がやってくる
ねぇ いつからだろう
僕らの距離が変化し始めたのは
何も気づかないほど
それは僅かなもので
幾多の季節が過ぎるまで
僕は何一つ分かっていなかったんだ
君は何か気づいていたのだろうか
遥か遠く離れた二つの大空を
あの季節を運ぶ風が吹き渡る
何度も共に歩いた桜並木道
ただ一人歩み僕はそっと振り返る
どこからともなく響くフルートの音
それはあの日の君を思い出させる
あの日の君の後ろ姿
僕と君の間を割くように
舞い落ちた桜の枯れ葉
幼い頃から一緒だった
僕らの終わりを告げるように
あぁ 何故だろう
僕らの距離が変わり始めたのは
何気ない当たり前の日々
それに気づかなかった愚かな自分
失ってから初めてその大切さを
僕は強く思い知ったんだ
僕の隣に君がいないことを
君と笑っていた幾多の季節
君がいないあれからの季節
いつかまたあの頃のように
二人共にあの銀杏の木を見上げ
色付く日を楽しみに笑うことが
出来るのだろうか
ねぇ いつからだろう
僕と君の距離が離れてしまったのは
今はただ一人見上げる銀杏の木を
季節を告げる秋風が吹き抜けてゆく
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