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Miss you--.
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作詞 縷兎‡ |
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「僕はもう行くね」
君は辛そうに微笑んだ
喧騒の中で 密かに思う
いっそ、休みなく動き続けるこの世界が
今を最後に、
留まれば良いのに、と。
君はいつも儚くて
弱弱しくて 夢見たい
君のほうが大きかったときから
ずっと そばに居た
だから
居なくなるなんて
信じたくなくて
君はいつまでも歌い
澄んでいて 夢のよう
無邪気に笑っていたときに
隣で 踊った
だから
ずっと一緒だ
そう信じてて
「いやだよ 行かないでくれ」
君に言いたいんだ
でも 「決めたんだ」
辛そうに君が微笑む
「行かないで」
せり上がってくる言葉も思いも、
君を、困らせてはいけないから。
唇を固く結んで、
僕は、立っていた。
君はいつも笑って
可愛らしくて 夢のよう
君が『僕』と自分を言う人は
僕だけ と知って
だから
変わらない
信じていたから
「何でだ 行かないでくれ」
あの日 君に言ったんだ
でも 「ごめんね」と
八の字眉で君が微笑む
いくらでも言い足りない言葉も心も、
君をもう、苦しめたくないから。
拳を硬く握って、
僕は、立っていた。
「僕は もう行くね」
そして君は、背を向けた。
人ごみに飲まれていって、
もう、我慢できない。
あんな頼りない姿なんて。
「居てくれよ」
そう、心の底から思って。
「いやだよ 行かないでくれ」
君の背中に手を伸ばす
でも 「もう行くね」
ただ くうをきって
「行かないで」
人の波に溺れ漂って
君を困らせたくないけど、
せいいっぱい 伸ばした。
雑踏の中で。
「ここに居て 行かないでくれ」
届かない思い。
でも 「帰ってくるよ」
振り返り、微笑んだ。
「待っているから」
辛いけど、微笑んだ。
僅かに届いた、一輪の花。
伸ばした手をおろして、
静かに目を伏せた。
(「もう 大丈夫だよ。
ここで 待ってるから」)
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