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舟
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作詞 SEDIA |
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友達の背が伸びた 隣の猫が死んだ
下の家が引っ越した 先生が転勤した
全部が毎日変わって行く
或の日の約束も 笑顔も 絆も 霧の様に散った
昔の家の裏にあった工場の 公害みたいな音は
昼寝時の太陽によく似合っていた
近所の自転車おじさんの ボロ屋に住まう猫達は
今頃何処で雨宿り
時々振り返って笑い合ったけれど
其れさえ時の流れに忘れて
皆が流れに乗り過ぎたのか 自分が岸にしがみ付いているのか
舟は有る 舟は出せない
先に待つのは瀧のみなのだと 独りで怯えているだけなのかも判らない
人々の歩いて行く背を見つめ 忘れないでと嘆きを止めないから
舟が有る 舟が出せない
過去に囚われるのではなくて 共に在って欲しい 唯其れだけ
爪を切れる様になった 時計の読み方を知った
絵を描ける様になった 人を見る様になった
自分も少しは変わったけど
遠くの思い出も 涙も 誓いも 変わらない筈だ
時々振り返って泣いてもみたけれど
消え去った記憶も確かに在って
皆は早く流れの道を知り 自分は岩にぶつかった儘動けない
櫂は有る けれど漕げない
先に行っても瀧しかないと 独りで妄想しているだけなのかも判らない
人々の過ぎて行く影を見つめ 思い出してと願いを止めないから
櫂は有る なのに漕げない
過去に引き留めるのではなくて 共に在って欲しい 唯其れだけ
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