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冬虫夏草
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作詞 少年アリス |
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四隅に埃が集まるように
日常は悪夢の断片
何でもない言葉が幾重にも響く
ほうっと息を吐いた隙に
裏通りへと引き込まれ
心も体もばらされてしまう 今日も
ドライフラワーを花と呼ぶな、
父は言った
限りない日向で影踏みを
コガネムシの琥珀が見つかるまで
あの子に捧げたかった
あの子の頭のまわり 一杯に
蕗の葉の陰で片目を瞑る 宝石みたいに青い蛙
雨が降っていたんだ ―――何時から?
思えば ずっと降っていた 雨
肋骨に隙間風
本物を堪らなく美味しがる君
自分の番では皿を割る君
飢えた花瓶
造花では満足しない花瓶
そこから匂い立つ情景は
僕が噛み砕いてきた
何度も 何度も
噎せ返るほどの香りを堪えて
本当に素晴らしいものは
身体中を駆け巡り
腹を突き破って 芽吹く
純白の両翼
僕を糧に全うされる
それでも、 命を繋ぎ止めるもの
(器の上に横たえられる)
分かれ分かれにならないよう
結ばれた先で 低く軋んでいる
干上がった腕はドライフラワー
(最高級の証は肉汁)
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