黒い服を着た人が　真っ白な俺を運んでいく
6月の終わり　暑くなりかけた昼に
皆何故泣くんだ　俺はここにいるぜ
目の前にいるんだから笑ってたって良いじゃないか

おい、お前等、俺はどんなやつだった
誰とも結婚する事がなかったな
俺の周りにはお前等みたいな良い友達がいたから
嫁なんていらないさ
俺の周りにはいつも皆がいたから

最もお前等に取っちゃ俺は友達でも何でもなくて
ただの変人でしかなかったんだろうが
少なくとも俺はお前等の事友達だと思ってたぜ

おい、妹弟よ、俺はお前等に何かしてあげられたか
いつもものぐさでやる気がないやつだったな
でもなんだかんだ言って結局仲良かったから
心配なんてするな
俺はあっちに行っても大丈夫だ

そりゃお前達にとってはただの引きこもりまがいの
パソコンオタクにしか見えないんだろうが
少なくともお前達には愛情を持って接してたと思うぜ

おい、母さん、親父、そっちはどうだ
俺もすぐ行くからいつもみたいに昼寝でもしながら待っててくれよ
脅かしに行ってやるよ　驚く顔が楽しみだ

真っ黒な車だな　高級車みたいだ
金色の飾りもなかなか良い感じだな
どうだ、俺高級車に乗ってるんだぜ　カッコイイだろ
寝転がれるくらい広いんだぜ　何て居心地が良いんだろう

なんだよ　皆で泣きやがって　俺はそういうの嫌いなんだよ
笑ってりゃいいじゃないか　俺の旅立ちだぜ
たまに化けて出てきてやるから待ってろよ　皆驚くかな

クラクションが鳴った
聞こえるわけ無いけど　でっかい声で言ってやった

あばよ！