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一期一振
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最終投稿日  2017.01.25
自信作/最新作
君と僕と雪の鐘
作詞  一期一振

午前2時
僕は君と待ち合わせした噴水の前。
指定時間になっても君は来ない、またあの人のところへ?
はあ、これから僕はどうしよう。
何をしよう。

「お待たせ、ごめん!」
「10分遅刻」
白に染まった街中手をつないで歩くカップル。
ああ僕の描いていた君との未来は何処へやら。
本当に、君がいない僕の世界は退屈さ。
冴えない顔で
バレないように小さな箱を右ポケットに隠して、一面真っ白な街中 頼りない背中で歩き出した。
「大好きだよ」、「ありがとう」。
ライトアップし光照らされた君の青い瞳を見て言おうと決めていたセリフ、
頭の中でリピートするよ。
何度も何度も、期待した恋。
春夏秋冬巡っても、実らない僕の恋。
何年の片想いなのだろう。
もう永久に、叶わないと思っていたのに。
突如
目の前に見えた青い瞳。
僕は驚きで腰が抜けたよ。
今夜くらいは、格好をつけたかったのに 君があんなことするから。
こんなんじゃ、君を護れない。
ああ本当に、君の前では格好悪い僕だ。



午後5時30分
重みを募らせた聖なる鐘が 夜のはじまりを告げる。
まだ降り続ける雪の中、情けない横顔で噴水の前、一人たたずむ僕の隣に
来ないと思っていた君が来た。
ただただ雪をも虜にする君が、何も言わず僕の瞳を見据える。
その嬉しさと緊迫感に耐えきれなくなった僕は小さく薄い唇を噛みしめ、
いずれ…とうとう 無防備に口を開いてしまった。
溢れ出る想いを、情(こころ)を、まだ子どもな僕には飲み込むことが出来なかった。


「大好きだよ」、「ありがとう」。
「愛してる」

言うつもりなんてこれっぽっちもなかった言葉が、自分勝手に零れ出る。
僕にはまだ大人な言葉だ。
クールな君のことだから、
顔色一つ変えないで くだらない、と 心中で笑うのかと思ったよ。
今君は、顔を桃色に染めて 照れくさそうだ。

どこかの名前も知らない誰かさん。
ありがとう、僕に勇気をくれて。
そして…

「君と一緒に未来を築きたい」

聖なる冬の鐘は、
僕が精一杯振り絞った声をかき消した。
格好つけたつもりだった僕は、とうとう最後まで格好悪いままだったな。
君が聞こえていたことなんて知らずに。


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ずっと、初恋が実らなかった男の子の初恋が、 最後に実るという曲です。 クリスマスの、雪景色を思いながらつくりました。 何かと、作詞に時間がかかりました 笑 鐘の音で聞こえていないと思い込んでいた声が、実は少女には聞こえていた、というところに注目していただければなあと思います!