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毛糸
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作詞 蘇季 |
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編み続けたマフラーの糸を
転がしてするりと解(ほど)けていくような
この両手から どれ程の時間(記憶)が削られたのだろう?
幼いころ、はしゃいでまわった
鉄棒からみえる逆様に映る空。
見惚れて手を放した瞬間に
夢から覚めた。
目覚ましの音が壊れたように
脳裏に響く。
徐々に無力化する躰
抜け殻のように
そこからまた成長できたなら
いいのに。
冷たく褪めきった
幻想の後に脈打つ期待、
言葉にならないけれど
記憶の中に佇むよう
「キミがイタ」。
すべてが穢れた世界にみえたなら
手放してしまおう、何度でも。
幾度、月日流れども
この想いは変わることはなく
引き裂かれていく道
乱反射して・胸を刺す。
“ガラクタだらけの箱の中どうしても手放せなかったもの”
この声が、届く時、君は、「笑って」くれるだろうか。
悲しみも喜びもひっくるめて受容していくよ。
形のないイメージの中
流れる舟
きっといつか、
君へと、届くように
「今を生きるよ」。
転がっていく毛糸の玉が
解けきった夢の先に
儚く去る今を
『昨日』と名付けよう
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