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真・我が家の住人
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作詞 あかさてな |
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或る冬の雨の日
僕は何時もの通学路の帰り道
高架橋の真下に見慣れぬ物を見付けた
其れは小さな段ボール箱
近付いてみると弱々しい鳴き声が聴こえた
急いで段ボール箱の傍へ行き蓋を開けると
其の中には数匹の仔猫たちが居た
善く善く見てみるとまだ産まれて間もない様だった
まだ目も空いていない小さな赤ちゃん猫たちだった
そして可哀想な事に鳴いて居るのは一匹だけで
後は既に死んでしまった様だった
僕は段ボールを抱えると小走りで家へと急いだ
家に帰り着くな否や玄関に遣って来た母親に
急いで事情を説明し赤ちゃん猫の為に
温かくしたタオルとミルクを用意して貰い
冷えて凍えている体をタオルで包み
スポイドでミルクを少しずつ与えて
何やら騒がしさに気付き遣って来た
我が家の愛犬、仔犬のシリウスが
尻尾を振り振りしながら赤ちゃん猫を
半ば不思議そうな然し嬉しそうな表情を浮かべて
じっと見詰めていた
夕方には父親も家に戻って来て
満場一致で赤ちゃん猫は我が家の新しい一員となった
死んでしまった兄弟猫たちは庭に墓を作り其の中へと埋めた
そして赤ちゃん猫にはリスト(ギリシャ語で“宝石”)と名付けた
シリウスはリストに近付くとそっと寄り添って眠りに就いた
其の様子はまるで本当の兄弟の様に微笑ましかった
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