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二人だけの始まり
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作詞 野馬知明 |
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淡い暮色のそこはかとなく香る出窓
一日の終わりを惜しむ暮れなずむ夕月
目を閉じたまま耳たぶにフレンチキス
明日のない世界をまどろむ夢
ほの暗い灯ともし頃の裏町通り
濃く染め上げられた硬質の愁色
背骨の軋むほど強い抱擁
誰も気づかないビルのすき間
夜の厚い帷に溶かし込まれる
誰もいない公園で揺れるブランコ
どこからともなく聞こえてくるギターの爪弾き
星空に緞帳を引く夜汽車の汽笛
音もなく宵闇に拡がる墨色の靄
ターンテーブルのLPレコードの空回り
二人だけのこの上もなく優しい夜の告知
闇に沈んだ港の呻くような霧笛
熱い囁きが枯れて尽きるころ
二人だけのハニータイムの始まり
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