|
|
|
猫驀地
|
作詞 Metaphysical Cat |
|
腹が減っては何とやら
満たすのは誰かの残りモノ
それでも構わないさ
言葉遣いは悪い方
極度の人見知りかもしれない
そのくらい許してよ
自分の生き方さえ決まっていなくて
時間に流されると思っていたから
可も無く不可も無く
幸でも不幸でも無いような運命
静かに語り始める
僕のプロローグ
凍えそうな春の頃
真新しい命が息吹いた
心から望まれず
その幾つもの輝きは
誰も居ない寂しい草原へと
躊躇無く放たれた
誰かに見つけてもらう事を願って
首には可愛らしい鈴をくれたのに
優しく見えるけど
どれほど残酷な意味なのかを
僕は知らない 何も知らない
幼かったから
耳障りな音色がとても苦しくて
すぐにでも引き千切ってしまいたい
そう思ったのに結局
好奇心と本能で
その場所から離れた街まで
どうにか辿り着いた
空を突き刺すような家
五月蠅そうな雑踏と足の群れ
少しずつ怖くなる
どうやら完全に迷い込んだらしい
ここで生きるからには腹を括らなきゃ
まだ右も左も
何が間違いで何が正しいのかも
全然解らないのに
僕は大丈夫?
勢い任せでここまで過ごしてきたのに
もっと早く気付けばと悔やまれる
そう思ったけど結局
腹が減っては何とやら
満たすのは誰かの残りモノ
それでも構わないさ
気分は舞い上がる風
走って行くあとの砂ぼこり
蝶々の狩りの途中
巨大な黒い影に気付きもしないで
世界が一瞬だけ綺麗に見えた
まだ夜が終わって
朝焼けに心洗われたというのに
もう夕暮れだったっけ?
朱くて 朱くて
今までのは何だったの?
今までのは夢だったの?
こんな呆気なく終わっちゃ駄目だろう
何だかとても肌寒い
向日葵が惜別の手を振る
そんな季節だったのに
滲む視界に映るのは
見た事も無いぐちゃぐちゃな景色
それは僕の背中で
自分の在り方より先立つ絶望
遠退いていく闇は不思議と眩しく
可も無く不可も無く
幸か不幸かも解らない運命
静かに終わり始める
僕のエピローグ
何度目かの轍
どうしてこの目だけ生きているのだろう
漸く次の合図で
僕は潰される
|
|
|