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ほら、冬やね
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作詞 辻由也 |
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寒風に吹かれ 淀川の土手
なんでこんな日に「散歩」なんやろ?
ほかにもデートはあったはずやのに
そんな文句も凍えて言えへんわ
誘ったきみかて寒そうにして
あんまししゃべりもせぇへんし
なんなんやろ って思っていたら
急に手ぇを握ってきやって
「ほら、冬やね」
そう言うて吐息 白く浮かばせて
素直やない つないだ手と手が
自然すぎるくらいそこで揺れとるけど
きみの照れ隠しはバレとる
まあ、黙ったいたろか
赤いコート カーキのマフラー
いつもの冬のかっこでおるのに
いつものきみとちょっとちゃうやん
どないしたんか気になるんやけど
「ほら、冬やん?」
ってきみは笑うて 頬を赤らめた
ほな春やとどうなるんやろか?
そんな屁理屈も無邪気なきみを見て
どうでも良うなって
結局、きみに見惚れていた
こんな何気ない日常を素敵に思えるやなんて
後でバチでもくらいそうやって、冗談を言うてみた
「ほな、もうええ?」って
訊きよるきみの表情はいじわる
手ぇつないできたんはそっちやん
ぼくのせいなんか?
「ほら、冬やろ」
ちゃんと手ぇ握ろう 外は寒いねんから
言葉やない プレゼントでもない
こんな不器用な態度やねんけど
きっと伝わっとるはずやろ?
「ほら、冬やね」って
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