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鬼の道
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作詞 ほつま |
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膨張しすぎた空から真っ直ぐに伸びた手を掴み
大きく開いた眼は赤く乾いて崩れる
双頭携え彼等は神経の抜けた歯をむいて
小さな子供に迫ると突と體が震える
「まだ 食ろうてはならぬ」
延々と気息奄々と柱の釘を撫で回し
静目と相碁井目と寝床の夢魔と交わりて
袋切り裂き引きずり出せば
ただただ黒髪あるばかり!
引き戸の角の悪魔も座敷童に制されて
白面被った乳飲み子 四肢という四肢押し潰す
「それは誰もが一度は通る悲劇
人三化七詰られて言葉を持たぬ赤子は無機質にケタケタ笑う
星の在り処も責任も磔にされた男に注ぎ
回天と流涎を繰り返しながらまだ見ぬ埋めた種が咲くことを信じ──
──散華する。」
信用しすぎた烏は飛べもせずに羽を広げ
拉げた嘴開いて赤い紐をまき散らす
峙つ人影踏み越え夕闇に染まる草を分けて
背中に鈍く光るのは白く輝く長物
「もう 食ろうても よいか?」
「否、堪えねばならぬ!」
小指折って星が流れて
止まった時間が動き出す
隠れた永久の導が片目の鬼を指し示し
天元回った戸籍を針という針貫く
「努々忘れる事勿れ
足跡消されて恨んだ赤子は
白詰を採ったついでとばかりに静かに夢も刈り取る
散り散りに壊れたがらくたも希望も串刺しの案山子が触れて
真後ろに折れた首を揺らしながら叶わぬ抱擁を描くと烏が腸を食らう
そうして灯籠下げて足音立てて近付く能面の影法師に
河原で拾った輝く石の無意味さを知るだろう。」
「逃げたい」と「逃げる」は何も変わらない
光奪われ自由縛られ望み貶され言葉削られ鼓膜破かれ体燃やされ姿変えられ皆に笑われ
それでも、生きてゆく。
彼方に薄く輝く忘れ得ぬ景色が胸に蔓延る限り
羽毛の如く舞い散り翼の如く堕ちてゆく
流れとは 嗚呼、流れとは意志という意志踏みにじる
安定しない五芒星
まとまらないと叫んでは
やがてこの世の常と鬼という鬼従える
いずれ来たる死を受け入れて。
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