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角つき坊や
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作詞 紗散 画宮 |
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路地の日陰は肌寒くて
でも僕は光を知らなくて
二つの角を撫でながら
ため息ついた午後4時の空
そんな茜が坂を染めて
駆け下りた子供は指をさした
「角付き悪魔だ!」 そう言っては
逃げるように散ってしまった
仲良くしたい そうは思うけど
陽向に出たら 砂になっちゃうので
亡き母から聞いた 「お父さんは
ヒトを助けて砂になっちゃった」
みんな一斉に店を閉めた
街は静かに欠伸をした
二つの角を撫でながら
ため息ついた午後7時の空
みんな知ってるんだ 日が暮れたら
僕もそこへ駆けて行けるから
一人ぼっち 坂 しゃがみ込んだ
でも今日は違うね キミに出会った
分かり合いたい この気持ちで
「お逃げ」と俯いた
すぐ隣で声がした
「逃げて来たの」って声がした
似た者同士? 分からないよ
父さんと喧嘩したことないもん
家出娘は まだ拗ねていた
「いいもんじゃないよ」 ぼやきながら
上る朝日を避けるように
逃げた路地裏 キミもついて来た
まだ帰りたくないって言ってもさ
僕の暮らしも いいもんじゃないよ?
分かり合いたい この気持ちが
叶った気がしていた
しばらく過ぎていった孤独を
埋めることが出来ればいいなぁ
共有する時間 ヒトと悪魔
2人は笑い 語り 遊んだ
路地の日陰は肌寒いけど
キミの手はずっと暖かくて
分かり合いたい この気持ちは
互いを伝わって
分かち合う優しささえ知れば
こんな世界も変わるのにね
綺麗な月が坂を染めて
帰路の途中で立ち止まった
寝ているはずのヒトの群れの
先頭に立った男は叫ぶ
「娘をさらった悪魔だ!! すぐに離れろ!!」
周りから聞こえてくる 音色さえ狂気に満ちて
八方を塞いだヒトの真ん中で
轟くピストルの悲鳴
分かり合いたい――
僕の前に立ったキミが
強く僕に抱き付いて
尻餅をついた痛みさえ忘れて
笑ったキミが瞳を閉じた
分かり合いたい この気持ちは
変異して歌になった
悲しみに変わるヒトの声を
吸い取って 尚更 張り裂けた
分かり合いたい この気持ちを
キミはずっと抱いてくれた
初めて見上げた朝日だけが
平等に全てを 照らしていた
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