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木の下にて
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作詞 N. |
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何処からともなく飛んできて
大きな木の隣に植わったあなた
あたしがそっと水をやると
強がってそっと笑ってみせたね
膝の高さまで育ったとき
巨木を見上げたあとに自分を見て
「僕もいつか大きくなれる?」
そう訊いては答えを欲しがったね
あれから何十年も経って
あなたはこんなに大きくなって
あたしはだんだん小さくなって
もうすぐ死んじゃうかもしれない
そう思ったらやっぱり、かなしかった
空高くまで枝を伸ばし
それと同じだけ地面に根を張って
「僕らどっちもしわしわだね」
そう言って笑った あなたとあたし
これから何百年も経って
きっとあなたは朽ちてゆくでしょう
あたしは先に死んじゃうだろうから
傍で見守ることはできない
そう思ったけど何故か、幸せなの
今は今を過ぎてゆくだけね
だからさいごの時まであなたと
落ちゆく陽もさえずる鳥たちも
共に悲しんではくれないよ
そう思ったけど何故か、幸せなの
大きくなったあなたの下に座り―――
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