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時の悪戯
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作詞 Little By Little |
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昔から目の前にあったドアだ
薄汚れても立っているドアだ
今こそあける時期が来たと
大切に暖めていた鍵を取り出した
震える手でさびだらけの鍵をドアに差し込んで
勢いよく開け放したのに飛び込んできた景色は
僕の想像していたものじゃない
開けなければ感じなかったであろう思い
ドアは完全に開け放たれて
僕に内側を惜しげもなく見せるけれど
感じるのはやったのにやらなければよかった後悔
今開け放した大きなドアは
僕の後ろで役目を終えて眠りについた
あけるまで分からないもんだと
期待に胸を膨らませていたときこそが
実は一番幸せな時期だったのだろう
勢いよく飛び出して目に移った景色は
僕の想像していたものじゃない
見えないものを見ようと必死に努力した
見えないものをその目で見たとき始めて
あの時目にも止めなかった景色や光が
僕にとって本当の宝物であったと知る
幸せは手の届かないような彼方にあるもの
そう思って死ぬ気で探していたとき
実はすぐ傍にあったりするもの
やっとたどり着いたドアもいらないから
それまでにたどった道のりも もう歩いたりはしない
あの頃へ後戻りできれば それだけで何もいらないと
気づいた時にはもう手遅れだった
開け放して目に映る世界は 僕に何も語らない
いつの間にか独りになって走ってきた僕を
受け入れてはくれなかった ここに僕の夢はない
振り返るとドアはゆっくりと閉じていく
閉ざされたドアの向こう側には
僕が一歩一歩踏みしめてきた足跡が残っている
それらは全て「今」から目をそむけてきたからであると
閉ざされたドアは最後に告げた
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