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キャンバスの中の赤い風船
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作詞 憂鬱な画家と陽気な庭師 |
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お気に入りの靴を履いて 幼い絵描きは旅に出る
パレットに弱さと強さ どっちも混ぜて描くんだ
息を切らしたレンガの坂 登りきった向こうで見た
誰かがそっと手放した 祈りのような赤い風船
「ねぇ ほら」 って たくさんの人たちが 指さすよ
「ここだよ」って 違う目線で捕らえた 同じ色を
まるで言葉では伝わらないことほど 伝わってしまいそうだ
それは この青を埋め尽くすには
あまりに小さくて 儚かったけど
見上げれば 確かに そこにあるんだよ
誰のためでもなく そこにあるんだよ
それは この街の人の多くには
他愛もない事かもしれないけど
ここからは密かに 見えていたんだよ
この空にインクを 添えていたんだよ
いつか僕も大人になって 全部が思い出に変わるなら
その前に こんな今日にさ 名前を付けて飾るんだ
分かりにくい魔法をかけて 今だけしか解けない謎を
そうやって目印みたく 浮かんでいった赤い風船
「ねぇ ほら」って たくさんの人たちが 指さした
「ここだよ」って 違う場所で気付いた 同じ色を
きっとレンガの坂をくだる頃には 消えてしまうのだろう
それは この青を埋め尽くすには
あまりに小さくて 儚かったけど
見上げれば 誰もが そこを見たんだよ
呼吸すらも忘れて じっと見たんだよ
それは この手で掴もうとするには
とても届かなくて 遠かったけど
目閉じれば 何故だか 近くにあるんだよ
それだけで笑える理由になるんだよって
夜明け前 キャンバスの中に閉じ込めた
小さな赤を閉じ込めた
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