|
 |
|
紡ぎ糸、すくうように
|
| 作詞 reddo |
|
君の顔見てた
顔、は正確には見てないけど
それがなんでかって
君も僕も似たもの同士で
すぐに顔に出ちゃうから
ツライときはお互い 目合わさないよね
僕、君のこと見てきたからわかるなぁ
人にツライことぶちまけないと気がすまない って人種じゃない僕らは
なんかこう ほんと 不器用だよねぇ やんなるくらい曲がれないというか
だから
君のことわかるから
いつも僕に君がしてくれること するね
僕たちは そういうふうにできているもんね
すんごく似てるから そういうの 心でわかっちゃうよね
話す君を 否定も肯定もしないで いやみなく受け止める
それって僕らの 特技だもんなぁ
話す君の言葉を 全身で聴くよ
受け止める
君はひとりでお酒を飲みながら 話したね
うん あの頃 私ね、幸せだった
すごく幸せでね、今が全てでね、毎日がそんな感じだった
あの頃 何も知らなかったから
やっぱり人間 知りすぎてもいけないもんだね
あの先生憶えてる？ 私たちよく叱られたよね
でも、何一つ間違ったこと言われなかったよね
先生の教えてくれたこと
なんで世の中では通用しないの？
私 間違ってる？
そんなふうに珍しくたくさん喋る君を
僕は うん、うん、と頷きながらきいてる
君のいいたいこと わかるなぁ とか思いながら
何かあったんだね
まだ言い足りないみたいだね
笑ってるけど すごい傷ついてるよねぇ
僕はあんまり鋭くないけど
君くらいわかりやすく悲しい顔してくれると
痛いくらいドンカンでも気づいてしまう
僕にできること なんだろうなってずっと考えてたけど
悩んでる顔の僕みて
君はきっと話すのをやめて僕の心配するからさぁ
ちょっとここは男らしく なんてやっぱよくわかんないけど
君が折れないように 堂々としてるね
今日の一日、何があったかを話してみて？ って聴きながら
だってそうしないと 君は隠しちゃうから
意識しなくても よけちゃうから
そういうとこ 良くないね
でも だから好きなんだけどさぁ
今日一日？
起きて、ごはん食べて、病院行って
昨日何があったのか 記録見て 患者さん 何があったのか見て、
ああ、昨日熱が出て苦しかったんだなあ って思って、
早く行ってあげたい って思って、師長が来て
カンファレンスして、
部屋に行って、
家族の人に、
挨拶して、それで、
それで
ドクターカンファレンス、あ、主治医と看護師の話し合いね、
の時間がきて、
それで、
もう、
「今日明日だろう」って
その先生ね、あの、臨床経験長いから、
その、当たるっていうか、あの、間違ってない、こと、言わないっていうか
その、
だからね
でも 私 経験ないからね、全然、まだ、大丈夫だろうなって
思って、たんだけどね、
いや、正確にはそう思いたかったっていうか、
その人、
なんか、こう、優しくてね、
初めて私、神様うらんだっていうか、その、なんでこの人をって、
いや、てか私ずるいよね、神様はなにも悪くないのに
うん、誰も悪くないんだけど、
じゃなくてね、えっと、
でもね、
やっぱり
お昼、一時頃かな、急に、
あの、えっとね、
それで、
それでね
言い終わらないうちに君は涙をこぼしてしまった
あわてて君が拭おうとする前にぎゅって
抱きしめたけど
遅かった
そこからもう
泣き止まなかった
君はこういうとき子どもみたいになる
先生に言われたみたいに
いつでも素直になるね
そういうとこ忘れなくていいよ
無理して人形みたいにならなくていいから
その場で無理なら ここにおいで
僕 俗に言うしっかりした奴じゃないけど
君一人分くらいは 強さはあるから
とっておくから いつでも 僕の力
だから
切り替えなくていいからね
そのために一緒にいるんだからね
じゃないとさぁ
またおなか痛くなっちゃうよ？
君 いっつもそうなんだから
僕がごはん作ってもおいしそうに食べてくれないと
心配しちゃうでしょーよ
ね？
私の頭の上に あなたが顎を乗せて話すから
声が頭に響いて くすぐったくて
なんだか涙もひっこんできたけど
あなたはしっかりしてるから
そこに甘えちゃいけないと思って
結局 そこに甘えることになっちゃって いつも申し訳なく思ってる
泣き止んだら 今度は私が
あなたの話聞くから
私と一緒ですぐ泣くのに 我慢して男の子らしくいようとするあなたに
何度でも 励まされてきたから
だってホラ
もう涙ぐんじゃって
昔こんな歌あったよね
聴きたいね
よし、
今度は 私の番だよ
ちょっと待ってね
もうちょっとだけ
いまちょっと
止まらないみたいだから
ごめんね
ありがとう
って いつも思ってる
|
|
|
