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ガラスのウサギ
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作詞 美卯 |
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季節は真冬 人々は寄り添って家に明かりを付ける
ガラスのウサギは一人ぼっち
今日も暗い路地の隅に蹲って明かりを見つめる
そんな時扉を開けて君は見つめる僕に向かって
こう言ってくれた
「そんな寒い所に居ないでこっちにおいで?」
君の笑顔があまりにも暖かくて
僕は思わず近づきそうになった
でも、それを阻むように
頭の中に危険信号が鳴り響く
温かな物に触れた時僕は壊れてしまう
温かい言葉は望んではいけない
撫でてくれる腕を欲しがってはいけない
自分に言い聞かせていた言葉を繰り返し
一歩踏み出し一歩後退する
背を向け たちまち逃げ出す
僕を呼ぶ君の声がいつまでも耳に残った
生まれつき冷たいこの身体
孤独の中に棲息し一人きりで生きる運命
でも それでも望んでしまうのは何故?
君に会ったあの日から頻りに思うんだ
触れたい 知りたいと深く
遠くから見つめる君の家
度々毎日君は窓を開けて外を覗いてる
窓を閉める君の表情はいつも曇っていて
それを見る度心が痛む
君に近付こうとする度危険信号が鳴り響く
孤独が僕の住処 そこから出てはいけない
だけど もう自分の気持ちを誤魔化す事が出来なくて
真冬の中無我夢中で走り出す
誰とも繋がらないまま生きていく日々が虚しくて
もう耐えれないんだ 本当は望んでいるんだ
泣いて鳴いて走って君に会いに行く
辿り着いた家で君は僕に待っていたと笑って
僕の事を抱き上げてくれた
掌から伝わる温度が心地よくて
僕はそれが愛だと知ったんだ
僕がずっと欲しくて遠ざけていたもの
君は与えてくれた
心が震えて嬉しくてガラスのウサギは
「ありがとう」とそう告げて
笑って腕の中で静かに壊れた
砕け散った亡骸を一つ一つ拾って
君は泣いてくれた
そして庭に埋めてくれた
街が白一色に染まる中で君は一つの作品を創った
僕が眠る場所に雪のウサギを置いてくれた
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