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桃色の月が昇った夜には
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作詞 絵描き屋 |
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滑らかに沈む紺色に
ぽっかり浮かんだ月の夜。
桃色に淡く照らされて
私ら二人、盃交わす。
―ほらあんた、飲みなされ。
―こらこらそんなにせかすない。
いつもの調子で笑い合う
あんたも大きくなりなさった
そろそろ所帯も持つだろう?
虫がりぃりぃなく丘で
長ぁくのびた二人影。
桃色に淡く染められて
このまま一つになれば良い。
―あんた、もっと飲みなされ。
―もう酔いがまわってるよ。
いつもの調子で笑い合う
あんたも大きくなりなさった
そろそろ見えなくなるだろう。
涼しい風が吹く丘で
ゆらゆら揺れる夜の花。
あんたも大きくなりなさった
そろそろ所帯も持つだろう?
あんたは大きくなりなさった
私が見えなくなるだろう
私はあんたが好きだから
泣いて縋ることはしないさ
あんたが困るのを見たくない
あんたは忘れていくだろう
ヒトってそんなもんだから
私も心得てるつもりさ
だけど、だけど
私は忘れない
忘れられっこない。
愛しくて、愛しくて
仕様がないから。
恋しくて泣く夜もあるだろう。
チガイを憎む時もあるだろう。
「あんたが幸せになってくれれば、それで良い。」
笑顔で言えるだろうか
あんたに初めてつく嘘。
忘れないで、傍に居て。
なんて、ね。
滑らかに沈む紺色に
ぽっかり浮かんだ月の夜。
桃色に淡く照らされて
私ら二人、盃交わす。
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