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君乞い
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作詞 アエカ |
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日が暮れる、温かい煙の中、
僕はまた溜息をつくのだ。
真っ赤な夕陽を窓越しに、
熱いお湯を全身に浴び、
今日も思うはただ一人。
ちっぽけな下町のちっぽけな食堂、
忙しなく働く一人の娘を、僕は
ただ注文の品が来るのを待つだけ。
絶えず煙たくあるこの室内に、
何度汗を流しに来たかわからない。
ただ、こうして体の芯までも
熱くなったのは今日が初めてだ。
嗚呼、夕陽よ顔を隠すなよ、
お前は美しい、あの娘を
見ているようで目を逸らせない。
そろそろ出ようか、頭がぐらりと
揺れる前に、そしていつものように
あの食堂へ行こう、丼でも食べよう、
あの娘に会うために、あの娘に会うために。
日が暮れる、温かい煙の中、
僕はまた溜息をつくのだ。
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