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線香花火
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作詞 水花 |
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店先に並ぶ僕達は 目立つものではないけれど
忘れ去られているわけでもないのです
鮮やかな光で人々を魅了する彼らを尻目に
僕達は出番をゆっくりと待っています
楽しい時間が終わりに近づくと
僕達は切なく輝きだします
そっと・・・
辺りを照らすわけじゃなく 沸かせるわけでもなく
ゆらゆらと風に揺れて 儚く輝くのです
そして人々を少しだけ 穏やかな気持ちにさせるのです
祭りの後の静けさは なんだか寂しく思えるけど
悲しい気持ちになるわけではないのです
そんな静けさと僕達の儚い生き方は
なんだかとても似ている気がします
時間を忘れて騒いだ後には
僕達が美しく活躍します
きっと・・・
辺りを照らすわけじゃなく 華やかなわけでもなく
ぱちぱちと音を立てて 柔かく輝くのです
そして人々を少しだけ 優しい気持ちにさせるのです
驚かすような輝きはないけれど
目に焼き付ける衝撃もないけれど
僕達の輝きはただひとつ
あなたと大切な人の心にいつまでも
焼き付けることはできるのです
それは決して色あせることのない
ひと夏の思い出を
そしてそのためだけに 僕達は燃え尽きるのです
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