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狐燈
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作詞 娃鬼 |
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十\五夜の月の下
この子の七つのお祝いに お札を納めに参ります
赤い雪洞 ゆらゆら燈し
暗い細道を 静々歩く
あと少し もう少しすれば
神様の許に辿り着きます
お札を納め 私は祈りました
「この子が何時までも幸せに暮らせますように」
静かに手を合わせ 神に誓いました
「私はこの子を護り抜きます」
この子の先を崩さぬ様に
行きは良い良い 帰りは恐い
雪洞の燈りが 消えました
灯かりが無くなり 辺りは暗闇
この子は声を上げて 泣き出しました
「早く森を出なければその子の顔を喰らうぞ」
狐がククク・・・と嘲った
私はこの子を抱え 走り出しました
「この子を死なせるわけには往かない」
木陰に隠れた鬼達が笑う
「早くしなくちゃ御狐様の餌になるぞ!」
道はまだ続く
やがて鬼は居なくなり
狐の姿はなくなった
息を上げて この子を抱きしめる
「大丈夫泣かないで。お母さんが護るから」
御狐様が見ていぬうちに 燈しましょう
赤くて小さな 雪洞に
燈した小さな 灯かりを見て
この子は 喜び母にしがみつく
狐の笑い声
九尾の狐は 再び現れ
逃げる親子を 追いかける
「この子を貴様などに 喰わせるものか!」
(森を出る―\―\―\・・・
抱きかかえた この子の顔は
狐燈の中で 炙られていた
椿の散華は
風に仰がれ 舞い
この子の 顔が無い身体に 堕ちた
「身体が冷たい」
とおりゃんせ
とおりゃんせ
この子の七つのお祝いに・・・・・
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