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昔話 泣いた黒鬼。
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作詞 和印 |
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今日は少し切ない話をしてあげましょう。。。。
昔々あるところに1人の鬼がいました。
鬼の色は鬼の世界では珍しい黒い色だったので
いつもいつも他の鬼にいじめられていました。
でもその鬼は泣いたことがなかった。
生まれたときからずっとこうなる運命だったので
孤独には慣れていた。
ある日1人の女の子がやってきていいました。
「かっこいいね。黒い色の鬼。」
何言ってんだ?同情なら食べてしまうぞ。
鬼は精一杯の怖い顔で睨みました。
なのに女の子はこう言いました。
「怖くないよ。あなたは優しい心の鬼だもん」
鬼は少しだけ笑いました。
それから鬼は初めての友達とたくさん笑い 遊びました。
絵本を読んだり かくれんぼをしたり 相談しあったり
毎日が楽しくて仕方ありませんでした。
鬼は孤独という言葉を忘れていました。
女の子への気持ちは友達以上の想いに変わっていました。
大好きで大好きで愛することさえ覚えました。
ある日いつもどうり女の子がやってきて言いました。
「私 結婚するの。」
何言ってんだ??どんな男か俺に見せてみろよ。
鬼は精一杯の声を荒げて怒鳴りました。
だから女の子はこう言いました。
「いいよ。あなたもきっと気に入るわ。」
気に入るかよ。と鬼は呟きました。
女の子の結婚相手は普通の人間の男の子。
鬼は所詮 鬼。人間には叶わない。
鬼は涙をこらえて言った。
「幸せになれよ。」
もう会えないのか??辛かったらいつでも帰って来い。
鬼は精一杯の笑顔で彼女等を見送りました。
「ばぃばぃ。ありがとうな。」
鬼は生まれて初めて泣きました。
それから鬼は孤独を思い出し
泣くという言葉を忘れました。
そんなある日1人の女の子がやってきて言いました。
「かっこいいね。黒い色の鬼」
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