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窓ぎわの人形
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作詞 イヨ♪ |
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私はこの家に贈られてきた フランス人形
この家に住む女の子のために
おじいちゃんが 私を買ってきてくれた
この家に来て もう15年
私は窓ぎわに置き去りのまま・・・
この家に贈られてきた頃は幸せだった
みんなに抱きしめてもらったり頭なでてもらったり
少し恥ずかしかったけど
そんな毎日が幸せだった
特にこの家に住む女の子は 本当に私を愛してくれた
「大好き」って言って私を毎朝抱きしめる
言葉では言えなかったけど
私も心で何度もあなたに「好き」と言ったのよ
今となっては
それは尊い記憶だけど
5年くらい経って あの子も少し大きくなって
少しずつ、私と離れてゆく
10年くらい経って あの子も社会に出て行って
私はついに 独りになった
ずっと一緒にいたかったあの子が
だんだん遠くなってゆく 記憶と共に離れてく
もう 私は必要ないのかな・・・
15年経った最近は
もうずっと窓ぎわに座りっぱなし
ほこりをかぶって、誰にも必要とされないで
ただポツンと窓ぎわに座っている
ある日 私の部屋にお母さんが来た
ここ何年も使ってなかったこの部屋を
掃除しに来たらしい
片づけをしていて、ふと 私の方を見る
「懐かしいわね」と言って私をゴミ袋の中へ入れた
悲しかった
私はゴミへと出されて 車で運ばれる
ついた場所は 辺り一面火の海だった
私は他のゴミたちと一緒に火の海へと落ちる
燃えあがる炎の中で かすかに想ったこと
もう1度 みんなに愛してもらいたかった
もう1度 みんなと一緒に居たかった
それはもう 叶うことはないけど
でもそれ以上に祈ったことは
みんなの幸せだった
大切にしてくれて とても嬉しかった
たくさん「好き」って言ってくれて
幸せだった
うすれゆく意識の中で
私は何度も強くそう願った
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