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森羅万象
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作詞 little friend |
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ボクは木
気付いたら存在していた
蝉がボクに止まり、鳴きそして死ぬ
その繰り返し
ある日、ボクの前に家が建った
五人の家族がそこに住んだ
おじいちゃんとおばあちゃんと夫婦と子ども
笑い声の絶えない家族だった
だけどある日、
朝、みんなでご飯を食べて
お父さん、お母さん子どもが出かける
おじいちゃんは家の裏の畑へ、
おばあちゃんは縁側でお茶を飲む
いつもと変わらない風景
でも、おばあちゃんが胸を押さえて急に倒れた!
おじいちゃんは畑の裏だ
いつもはお昼に帰ってくるお母さんが遅い!!
おばあちゃん!おばちゃん!!
その次の日から、おばあちゃんは見なくなった
おじいちゃんも家から出なくなったみたいだ
数年経ち、子どもは高校生になった
毎日、写真の祖父と祖母に微笑み学校に行った
さらに空は色を変えることを繰り返し、夫婦は子どもが社会人になる頃には白髪が増えていた
そして、子どもは結婚し、孫を連れて里帰りした
祖父、祖母、そしてその横に並ぶ両親に見せるために
ボクは交通事故で夫婦が死んだことを知っていた
屈託の無いその孫の顔に彼の父の涙が落ちる
それから何年経ったかは分からない、
その家にとうとう人が来なくなった…
しかしその家の五人は近くの石の下でイマ暮らしている
時は流れる
ああ、ボクは100年前のくらしの戻ったのか
ボクは木
気付いたら存在していた
蝉がボクに止まり、鳴きそして死ぬ
ボクは幾千の生き死にを見たのだろう?
そして幾千回の潮の満ち引き、月の満ち欠けを見るうち、幾千の死を見るのだろう?
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