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精一杯。
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作詞 悲壮の鳥 |
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走り出した。学校から家への道。
ちょっと走ってみたかったから、走った。
ただそれだけ。
でも、トボトボ歩いて帰るよりはマシ。
両手に風をうけて。
背に背負った鞄を揺らして。
手に持った水筒も揺らして。
ちょっと疲れたかも・・・
水筒を開けてお茶を飲み
さぁ、また走り出そう。
すれ違う人たちが、何事だ!?って私を見る。
いつもは皆の目に映らない私でも走れば注目の的。
ちょっと、迷惑だけどね・・・・
門限に間に合うかな〜って思いながら寄り道して。
母さんたち怒ってるかな〜って思いながら野良猫と戯れる。
どこかの飼い犬に吼えられてビックリしながら走る。
どうせ、もう走れなくなるんだから、
精一杯、走っちゃおう!
これで、死ぬならOKかも。
息を切らして帰ったら、母さんが怒った。
「走っちゃ駄目でしょ!?」って・・・
だって、仕方がないよ、母さん。
もうすぐ、死ぬんだから、最後ぐらいは走らせて!って思ったんだもん。
その数時間後、救急車が私の家に到着した。
病人はもちろん私。
今夜がトウゲ。
でも、精一杯、走れたからここで死んでもOKだよ!
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