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姉の悲しみ
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作詞 〜雑草の中の雑草〜 |
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私の姉は本気で愛した人がいました
姉の愛した人は仕事先の 姉のひとつ上の先輩
姉は彼を家につれてきました
それから 毎日 毎日 遊びにきました
壊れたストーブを直してくれました
明るい人なので 母とも父とも私とも
すぐ仲良くなりました
姉はどんどん彼を好きになっていました
そんなある日
姉は 妊娠した といいました
私はとても驚いてその場で泣きました
父と母は黙っていました
沈黙をへて父が口を開きました
「お前は 育てる自信はあるのか」と
姉は 「はい。」
とひとつだけ返事をしました
そのあと彼と姉の二人きりで話をしました
姉は
彼が納得してくれた と とても喜んでいました
私ももちろん嬉しかったのです
生まれる赤ちゃんが待ち遠しい思いでした
姉はもうすぐ結婚するかもしれない・・
とも思っていました
だけれど
彼はある日突然姿を消しました
連絡もとれなくなった と
姉はいいました
とてもとても悲しい目をしていました
姉はしばらくたっても
ずっとずっと彼のことを心配していました
でも 私は 裏切られたのだと思いました
私も姉の友達も
説得しました
けれど 母さんと父さんには絶対言わないで
と何度も何度も言うだけで
何も変わりません
毎日 ご飯も食べず 風呂も入らず
ただ 電話の前でずっと彼を信じているのです
それを見るたび 苦しい思いでした
母は二日もろくに食べず残す姉に対して心配しました
病院につれていこうとする母に姉は反発しました
そのとき姉は我に返ったようです
姉は電話の前で泣いたのです
少しやせた肩を震わせ
大きな声で泣き叫びました
狂ったみたいに 電話線をひっぱり落とし
長い髪の毛をブチリブチリとと抜きました
私は姉の悲しみをわかったつもりでいました
でもそれ以上に
大きな大きな つらさ 悲しみ だったと思います
でも姉は素晴らしくて誇らしいです
姉は 素直に人を信じた人なのですから
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