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悲涙
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作詞 傷狼 |
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雨が降っていた
ポツポツと 締まりのない雨が
あたしの体を撫でる様に落ちていった
傷ついた猫を見つけた
人々は知らんぷりで通り過ぎていった
そっと猫を抱えたまま
あたしは狭い路地に姿を消した
時が止まったような静かな街で
たった一匹の猫が、鳴いた
助けを求めるでもなく
また餌を求めるでもなく
ただ 縋るように、鳴いた
傷ついた猫を抱えたまま
あたしは泣いた
たった一つの命を抱き締めて
流れるだけの涙を流した
縋るように鳴く、猫を見て
あたしは泣いた
枯れそうな命を抱き締めて
声を殺して泣き続けた
人々は何事もなかったかのように
変わらない日々を過ごすのに
あたしは狭く細い路地に座り込んだ
か細い命を抱えたまま
傷ついた猫が愛しくて
あたしは泣いた
折れそうな命を抱き締めて
止められない涙を流した
縋るように鳴く、猫を見て
あたしは泣いた
小さな命を抱き締めたまま
大粒の涙を落とした
懸命に生きる一つの命が
細い糸を手繰り寄せようとする命が
愛しくて、でも儚くて悲しくて
あたしは泣いた
誰もいない街のすみっこで
傷ついた猫を抱き締めた
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