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音楽
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作詞 Meco |
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私の鞄の中には、
大好きな音楽の入ったカセットと、
ぐしゃぐしゃの楽譜と、
タオルと、
鉛筆とけしごむ。
それぐらいしか入ってなかった。
先生に怒られた。
私は、まだ馬鹿だったからわからなかった。
教科書もノートも勉強道具もない私を怒る先生や、
私の方を見てクスクス笑う女の子や、
黒板に書いてある文字や数字が。
あの時の私にはわからなくて、
気付けなくて。
とにかく教室を飛び出した。
もちろん、楽譜やらカセットの入った鞄は持っていた。
「あんな所、嫌だ・・」
私は、本当に馬鹿だった。
頭には音楽の知識しかなかった。
憧れの指揮者しか想い浮かばなかった。
でも、ある時、ハッと気付いた。
「ココで音楽を道とするならまず勉強だ」
ギターも、
ピアノも、
トロンボーンも、
ホルンも、
クラリネットも、
フルートも、
捨てなくて良いように。
楽器の練習は欠かさなかった。
好きな音楽は毎日聞いた。
でも、その時から教科書を開き始めた。
最初は、まったくわからなかった。
母に教わろうとしても、母も首を傾げた。
相変らず、
私は先生に怒られては逃げだし、
クラスの子にクスクス笑われては逃げだし、
大人を拒絶し、
同級生との関りを拒絶した。
でも、やっぱり。
ギターも、
ピアノも、
トロンボーンも、
ホルンも、
クラリネットも、
フルートも、
捨てなくて良いように。
この想いだけは、
真っ直ぐ受け入れることが出来た。
「この想いは大切にしよう」
そう想えた。
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