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少女
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作詞 紫蝶 |
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〜少女〜
満ち足りた世界に生まれた少女が居た。
まわりには常に、流行の服や美味しいお菓子があった。
欲しいものはなんでも手に入った。
それなのに少女の心は満たされない。
少女はつねに空虚と孤独を感じていた。
甘える事も泣く事も、すべては無意味であることを少女はちゃんと知っていたのだから。
涙などに価値はなく、人々が自分に求めているのは、甘いお菓子なのだから……
ある年の夏、少女に大きな変化がおきた。
少女の回りから、お菓子や服が消えた。
代わりに現れたのは…ナイフと薬、そして殺人願望。
そのころには少女の面影は消えていた。
誰も止められなかったし、止めようともしなかった。少女はただただ壊れて行っ
た。
ナイフで自分を傷つけて、薬をのまなきゃ眠れない。
痛みと薬だけが少女を安心させてくれた。
しかし母親は少女からナイフと薬を取
り上げた。
少女はついに狂ってしまった。
少女の笑い声は毎晩止まる事なく続き、瞳からは汚れのない美しい涙が…
三日三晩少女は笑い続け、四日目のよるに少女は死んだ。
お屋敷の塔屋根から飛び下りたのだ。
少女の死は、誰も悲しませなかった。だれ一人、
少女のために涙は流さなかった。
少女が愛したナイフと薬は、少女が死んだ後主の元へ返されたと言う…
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