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芸術
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作詞 恵礼 |
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「だいじょうぶ」
そう言ってつくった笑顔は
どうしようもなく悲しくて
涙をこらえて震える声は
何もできない私に
重い鉛をのせた
雪のように白い画用紙だって
真っ黒な雫を落とせば穢れる
その雫は深く染み付いて
紙を黒く染める
「ダメだった」
そう言って涙を流した
びっくりするくらい
純粋な涙
奇麗事ではなぐさめられない
そう悟った
けれどその涙でぬらせば
穢れた真っ黒な紙でも
そこから白い模様となって
「失恋」というタイトルの芸術になる
その芸術は思い出として
心の奥にしまわれる
そうやってふえていく思い出の画用紙
いい思い出も
悪い思い出も
みんな芸術作品
人は生まれたときから芸術家
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