|
|
|
花火私想
|
作詞 紗散 画宮 |
|
吐き出されたフィルムには 風に揺られてる駒草
ノーパソはつまらなそうに 溜め息を漏らしていた
思い出の風化の速さを 人は「命」と比喩したがるね
だとするなら僕はきっと 1ミリの心臓で生きてるんだ
いいじゃないか そんな出逢いが一度くらいあったってさ
夏の日ざし 色褪せたおもちゃ箱はそのまま
祭が やってくる
枯れた辺境の街に
駅のホーム 人の波
約束は果たされた
花火が上がり 目を開き 交わり合うこの刹那に
運命なんて軽はずみに 口にしない方がいいでしょうか?
高鳴る鼓動に呼応して 大きく空に開く花は
青いサネカズラに見えた気がした
2人分のりんご飴を 持って駆ける繁華街灯下
キミは少しはにかんで 小さい方を選んだ
並んで歩く道の狭さを 周りの人たちが盛り上げた
離れぬよう組んだ腕は まだ少し華奢だった
祭はまだ響く
枯れた辺境の街で
子供たち輪になって
太鼓の音 ひゅるり
花火が上がり 目を開き 同じものを見る幸せに
永遠なんて軽はずみに 望まない方がいいでしょうか?
鼓動 躍動 キミの笑顔 また新しくしたハンディカムは
赤いハナビシソウを映しているかな?
祭は過ぎ行く
辺境の街はまた枯れる
花火は上がる 天高く 上り詰めた末の沈黙に
「また来年ね」の一言が 奥底から溢れ 伝った
キミの頬の一滴 ホシアカリから目を逸らす でも
サヨナラの花は 咲いてないね
花は開く 視界の端 雲のない夜を覆い尽くし
半歩前に出る そんな罪を 唇とともに重ねた
余韻 沈黙 眠りの街 手を振ったキミへ言う
「赤いハナビシソウを忘れないから」
取り出した円盤の上に 橙のマーカーは記した
次の夏 会える日にまた この想いを連れていこう
|
|
|