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石像の森
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作詞 紗散 画宮 |
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ずっと待ち焦がれていた 冷たい地下牢にて
貴方が現れて「逃げよう」と手を引いてくれた
辿り着いた森の中 少し開けた場所にて
貴方の手をすり抜けて「もう走れない」と駄々をこね
川 せせらぎ 揺らめき 貴方の顔
時の停止 体現と屈折
「私を見て」小さな私の願いを
貴方は聞いて 透き通る笑みで双眸 覗く
「見つけたぞ!」追ってきた兵が顔を変える
石化した貴方 取り乱す私は そっと目を向ける
木々の中に眠るのは 燃えもしない人の群れ
雨に打たれた顔では 間違い探しも出来はしないわ
鏡の中に映した 理想に生きる少女も
一人きりになったとき ひっそりと死を選ぶの
森 ざわめき いつぞやの貴方の顔
触れた指先 微かなヒビ割れ
川 せせらぎ やや遠くカシスの木よ
埋めて欲しい 記憶も 目も 何もかも
「私を見て」 そんな私の願いは
長く隔たれて 風化した後に何も残しはしなかった
灰色の大地に独り立つ女は
両の手のひらに涙を貯めて そっと目を抉る
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