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星に願いを
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作詞 霧雨みつる |
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小粋なジャズがオレンヂの実を落とした
砕けたビスケットと笑った兵隊さんと禿げた裏山と独りぼっちのフラミンゴ
君は煙草を咥えて笑ってる
真っ赤な眼で遠くを見てる
シベリアとメルボルンとニューオリンズ
ヴィーナスとマアキュリイと僕の眼
太陽はいつまでも西の空にいて
キネマみたいにカタカタ音を立てて
池の水は蒸発して
月は泣いていて
東風は凪いでいて
壁は冷たいまま
くるくると峠道を下ってきた乳液色の塊は
墜ちたどこかの星
無くしたはずのブローチが胸元でキラリ
知らなかった思い出が渇いた池にドボン
30キロの曲がりくねった直線道路で
昔馴染みの新しい古びた店で
明鏡止水の暴れだした刹那の永遠を
禿げた裏山の傾いたお屋敷の三番目の玄関と
穴の空いた兵隊さんの左胸の空洞の透明の血と
割れた眼鏡のレンズの六枚の破片と銀色
それでも時折君は
僕を真っ赤な眼で見据える
(それはまるでMarsの様に)
真っ直ぐに僕を捉えて
(素知らぬ程の荒々しさで)
魂の中まで見透かす
(嗚呼、私に光を!)
僕は月足らずの子の母のように泣いていた
君を思って泣いていた
君は笑っていた
赤い眼を剥いて長い髪で涙と共に笑っていた
明日も天気でありますように
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