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新築の間
作詞 青葉巽
新築

1.薄っぺらでは どんなに煌いて広がる世界にも
  床の様に溶け込んでいくことしか出来ないね
  背丈を真縦に傾けて そびえ立とう

  少しは天井を見習おうか と
  思ったことが間違いだった
  あの高さがあっても 平められている
  それならば もうじき雨足へと消えかかる雲を選ぶさ

  屋根の頂へ向かって 角錐を支えている
  そして一部になっている
  風見鶏が乗る 塗料が模様に塗られていく
  ここに家が建つ 新しい人家が建つ
  剥き出しだった茶色い土が息の根を絶やす

  背丈を真縦に傾けて そびえ立とう
  家の敷地を草むらの中 今まで故郷としていた芋虫が
  地中深くで 思う

2.薄っぺらな地に こんな希望溢れる家が建ち
  隣近所との御縁の有無を 占う日々が始まる
  弟は新しい小学校へと 顔を出す

  少しは上を向こうか と
  思ったこともまた間違いだった
  外遊びも 団欒も 水平な道具だらけ
  飛ばない生き物は まずは肩を組み合って生きるんだ

  昼間の家では 窓が明かりを受け入れては
  夜に天井からも明かりをともし
  生活を宿す 人々は出入りの中で住み着く
  ここに住みかがある 騒ぎ声がある
  青年へと老けた兄は ますます閉じこもっていく 

  背丈を真横に素直に向けるだなんて・・・
  野鳥に隠れて這いつくばっていた芋虫が
  少年の網の中 思う

3.少しは上を向こうか と
  思い始めたとき 遊び尽くしたんだね
  外遊びにも 団欒にも 水かきを慣らして陸地の手にしたんだね 

  そして夢を抱くとき 縦を向くのだろうか
  予想を立てるとき それは
  上下の芯を研ぎ澄ますことと同じ
  自分ひとりで他人を寄せ付けないということは
  横ではないということ つまりそれが縦なのか
  どうなのかは分からないけど

  昼間の家では 窓が明かりを受け入れては
  夜に天井からも明かりをともし
  まるで心みたいだ 僕はここに住むんだ
  でも縮こまらないんだ ここはあくまで拠点なんだ
  空間に過ぎないのならば 世界への扉を開けて

4.いつでも訪れ得る 何かの終わりが
  あると分かっていても
  終わり際すら 予知できないのだから
  日記といわず 掛け時計の音を一文字ずつ
  言い換えていく勢いで

  背丈を真縦に 一つの塔としてそびえ立とう
  少年に見逃されて抜け出せた網の外で
  野鳥に見つかった今 芋虫は思う

本作品の著作権は作詞者に帰属します。
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歌詞タイトル 新築の間
公開日 2009/12/27
ジャンル 詩(ポエム)
カテゴリ その他
コメント とにかく「生存する」ことを、「生活する」という段階に下げて書いた歌です。
殴り書きのように粗雑で、ひたすら長くて、様々な事情が絡み合っていて、でも全部虚構であって…。
写実的なのに意志が大いに零れ出している所が好きです。
青葉巽さんの情報













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