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ダット
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作詞 少年アリス |
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失ったものが忘れられない
ここにあった筈のものがない
ないもので頭がいっぱいになって
忙しなく歩き回っているのに
ふとした拍子に分からなくなる
空っぽで 立ち尽くしてしまう
もし失ったことで 失った場所から生えた道で
誰かと巡り会えたなら
その人が僕を呼んでくれたなら
一つ息をする間に置いていかないでくれたら
待っていてくれるなら
教えて下さい
何を、とは言わない(答えなどというものは広大すぎて)
こうして声の出ない今
あなたの声で目を覚ましたい
あと一度だけ
眠っている間に誰かが
頭を撫ぜていったんだ
尾を引くような哀しい夢に
薄暗い朝の穴をあけた
枕元には誰もいない
隣の布団はまだ温かい
僕は何処に行ったのだろう
あなたは あなたは誰だったろう
声の出なくなった時
それでも 声を聞きとったように
訳も知らずに触れてくれた
あの手が 僕は忘れられない
モニターからビタミンを
すぐ近くには目もくれない
まるで 食べ物を知らないで
錠剤に縋る命みたいに
失ったものが忘れられない
ここにあった筈のものがない
ないものから逃れられずに
殻だけを大きく設けて
ふとした拍子に破裂すると
貧相な僕が独りで立ってる
教えて下さい
僕が探しているのは何か
ないものを憂う無意味さを
子供の自分を見捨てられない
教えて下さい
同じ大きさの 遠くない年の
服を脱いでも 同じ姿の
あの手とは違う あなたの指が
全てを分かっているみたいに
たった今という時のために
そこにある あるということを
教えて下さい
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