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少年、水を摑む事
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作詞 千壱 |
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すれ違った人に訊いてみた
「水を摑む事が出来るか」と
まともな答えを期待してたわけじゃない
心の何処かで 同じちょっと危ない人を探してた
もう 独りに飽きたから
嫌な世の中になったもんだ
夢売りが居ない 仲買人が消えた
幼かったあの日は 夢売りが側に来るたびに
なけなしのコイン全部はたいて 買えるだけの夢を買っていた
買った夢は一晩で消える それが絶対のルール
夢売りは僕に訊いてきた
「水を摑む夢は要るか」と
胡散臭い 変な夢と思ったけど
結局僕はそれを手に入れた
一晩で消えない夢は初めてだった
何年も僕の枕の下で 不思議な夢を見せ続けた
朝になれば全部忘れてるけど 何故か離せなくなった
それが ある日消えるなんて考えもせず
きっとまだまだ子供だったんだ
夢の一つに 涙流すなんて
僕は僕に訊いてみた
「水は摑めたのか」と
何も覚えちゃ いないんだけど
心の隅で 確かめなきゃいけなかった
あの日の夢売りはもう居ない
「水を摑む夢は要るか」と
また誰かに売っているのだろうか
でもあれって 違法じゃないの?
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本作品の著作権は作詞者に帰属します。
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