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死神と花畑
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作詞 パチ☆ぱち |
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神様教えてください。
「神様。なぜ私には両の手があるのですか?」
「それはね、お前が愛した人をぎゅっと抱きしめるためだよ。お前の手は小さいけれどどんな大きなものでも抱きしめることができるんだよ。」
「神様。なぜ私には両の足があるのですか?」
「それはね、お前が愛した人の許へ行くためだよ。お前の足は小さいけれどどんな遠くにだって行けるんだ
よ。その足で愛する人を迎えにいくんだよ。」
「神様。なぜ私には両の目があるのですか?」
「それはね、お前が愛する人を見つけるためにあるんだよ。お前の目は小さいけれどどんなたくさんの人の中からでもお前は、愛する人を見つけることができるんだ。」
「みんなお前を羨んでる。みんなお前のその手や、その足や、その目をほしがっている。みんながお前をほしっがている。みんなの前を妬んでいる。」
少女は逃げた。
誰もその手を掴む事が出来ない位大きく振って。
誰もその足を止める事が出来ない位走って。
誰もその美しい瞳を見る事が出来ない位ぎゅっと瞑って。
少女は辿り着いた。誰も居ない所に。
そこには、少女が大好きな花が咲き乱れていた。
暖かな風が吹き抜けては少女の頬を撫でていた。
どこからともなく聞こえてくる鳥の唄。
そこには少女以外誰も居ない。
大好きな
ママもパパも
おばあちゃんもおじいちゃんも
友達もあの子も・・・
少女は座り込んだまま動かなかった。
てんとう虫や蝶々が飛び交う中少女はうとうととリズムを刻み始める。
やがて少女は土に返りまたこの地に一輪の花を咲かせた。
もう誰も少女の
白くて小さな手を・・
白くて小さな足を・・
ビー玉のように小さな瞳を見ることは出来ない。
でもみんな寂しくはなかった。
少女の花をかすめた風がみんなの町に春を連れて来るから。
だからみんな寂しくはなかった。
神様に騙された少女を惜しむように、今日も少女が連れて来た春風に話しかけるのでした。
「神様。なぜ私には両の耳があるのですか?」
「それはね、お前がみんなの声を聞くためにあるんだよ。お前の耳は小さいけれどどんなに遠く離れてもみんなの声を聞くことが出来るんだよ。」
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