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小鳥の少女
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作詞 あきたこまち |
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ある日、小さな小鳥は恋をしました。
その小鳥の少女は、白い大きな柱のすき間から見える、凛々しい鳥の青年に恋をしました。
しかし、小鳥の少女は、何も出来なかったのです。
籠の中。その上 窓際から除くその姿は、あまりにも遠すぎたのです。
少女は諦めようとしました。
今まで、外に出ることも、他の鳥(ヒト)と話すことも、諦めてきた小鳥の少女は、諦めることに慣れてしまっていたのです。
しかし、不思議な事が起こりました。
諦めることに慣れていた鳥の少女ですが、
───諦められなかったのです。
少女は、諦めきれなかったのです。
それどころか、その後、毎日窓の外で駄弁っている彼の姿に、日に日に想いは募っていくばかりなのです。
少女は初めての感情に戸惑いました。
でも、その感情は、何故か心地良く、毎日、彼女はうっとりと、籠と窓越しに見かける彼を見ていました。
しかし、そんな幸せな日々を壊すかのように、彼女は現実を知ってしまったのです。
「ね、新しいお家、楽しみだね。」
数日後、彼女の主人は、にこっとわらってそう言いました。
彼女は何も考えず、
考えられず、
少しの間、時間が止まったかのように、ボーッとしておりました。
すると、少女の小さな体を、大きな水滴が転がっていきました。
小鳥の少女は、泣いていました。
特にこの家に思い残しもありません。
友達だって居ません。
増してや、この場所が好きなのでもありません。
ただ、
ただ、頭にはあの鳥の青年が浮かんでくるのです。
否、あの青年しか浮かんでこないのです。
小鳥の少女は、ここまで彼のことを想っていたのかと、
泣きながら、
笑いました。
次の朝、移動用の籠に移されるとき、
彼女は、飛びました。
幸せそうな笑みを浮かべて、
外に出ることさえ初めての彼女は、フラフラと危なっかしげに、
それでも、真っ直ぐに、彼の元へ飛んで行きました。
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