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herbarium
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作詞 つきなみゆうき |
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ああ もう二度と戻さない感情に出逢ったら
これほどまでに強くなれるのかと 哀しく
手に摘み生けるよりも
ふと向けば咲いている美しさを
時折眺めていられたら良かったのに
風に舞い揺れる体 何をしてもいい
自分の意思で光を取り水を受け
媒介者を引き寄せる
不思議な魅力を持つ花
きみは摘み取られた 自らの意思で僕に
もの欲しそうな顔に 気付いていたのか
枯れることを予見もせずに
その美しい立ち姿一つで
あれほどまでに欲したものが手中にあるのに
とうのきみは あの場に咲いたまま
触れられないきみの愛し方に
幼い僕は情動のまま 枯らしてしまった
美しい花は 枯れてから深みが増す
生ける間では知り得なかった 流麗な香り
潤う事を拒む反抗的な色彩は
僕の体温 僕の触れ方 僕の囁き方で変幻する
少し触れようものなら
壊してしまえる欲を隠し 腕に包み込む
この僕にしかできない扱いだ
立ち姿のまま オイルを脚元から注ぎ入れ
ガラスの中に閉じ込めて 永遠 永遠にだ
光が射せば 花弁も透ける
僕しか見られない 苦顔を愛でる ああ
泣き顔さえ愛おしい 誰にも触れさせない
緩やかな液の中で 儚く可憐に鳴く花を
紐で縛りつけ 窓辺に飾り
放置する
僕に毒され 己の名も忘れ
僕の一部となり 散る事を望んだ
純粋で可愛い 僕の枯れた花の詩
そこに在るきみはまだ 抜け殻か?
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