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夏がやってくる
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作詞 つだけんと |
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「夏がやってくる」再生紙のビラが
都会のアスファルトに貼り付いて 雑踏に塗れ
未だ蝉の声は聞こえやしないが
夜はだいぶ暖かくなった気がした
けれど 指先は悴んだまま
空に歌えば この言葉を吸い込んでくれるが
街に歌えば 路面に落っこちて排水溝に流れた
そこに詰まる激情と虚無感に 夏がやってくる
腐敗臭が立ち込め 駅前の高層ビルが
吐き捨てたゲロが田舎の田園を埋め尽くして
あの日の蝉の声は聞こえやしないが
夜を歩くことに慣れた気がした
けれど 足元は泥濘んだまま
海に歌えば この悲しみもやがて雨になって
雨に歌えば 激しい雨音に歌は粉々にかき消された
そこに思い馳せる青春群像に 夏がやってくる
夏がやってくる
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